院長コラム

シルクロードの終点

2025年05月15日

連休の明けの週末に、久しぶりに奈良の明日香村を訪ねました。京都や奈良中心部の観光地はどこもインバウンドでいっぱいですが、明日香は時が止まったように静かな立佇まいを残していました。麓にレンタサイクルを止めて、甘樫の丘に登ると、田園風景の中に畝傍山(うねびやま)、耳成山(みみなしやま)、そして、天香具山(あまのかぐやま)の大和三山を望み、遠く奈良盆地が一望できます。かつて藤原京が置かれ、天皇陵や古墳が散見される古代政権の聖地、まさに日本の原風景がそこにあります。前回は、遺跡や古墳をめぐりましたが、今回は 飛鳥寺〜万葉文化館〜岡寺〜橘寺と、飛鳥時代の寺社を中心に巡りました。

甘樫の丘から大和三山を望む。

最も楽しみにしていたのは、飛鳥寺です。シルクロードの終点という看板のあるお寺の山門をくぐると、右手に本殿があります。靴を脱いで本殿に上がり、1400年前の大仏様のお姿を拝みます。創建とほぼ同時期(609年)に鋳造された釈迦如来坐像で通称、「飛鳥大仏」と呼ばれている日本最古の仏像です。目の前の座高3メートルの大きな仏さまは、迫力があります。この仏像を手掛けたのは渡来系仏師である鞍作鳥(くらつくりのとり、止利仏師)で、法隆寺金堂釈迦三尊像(国宝)を手がけた仏師でもあります。やや面長で端正な佇まいで、口もとには飛鳥仏特有のアルカイックスマイルを讃えるお姿は、エキゾチックな雰囲気さえ漂います。建立当時は光背がついており、銅15トンが使用され、表面には金30キログラムを使って鍍金めっきが施されていたそう。左右には。三尊仏として文殊・普賢菩薩を配し、往時はさぞ立派なお姿であったことでしょう。

以前に見たTV番組で「なぜ奈良の大仏が大きいか?」という問いに、「シルクロードから伝わったから」という答えが用意されていました。シルクロードには、大きな石仏や涅槃像がたくさん残っています。

本堂に数人の観光客が集まると、若いお坊さんが出てきて、案内をしてくれます。「本日は、よくお参りくださいました。この仏さまは、創建以来ずっとここで、我々を見守って下さっています。聖徳太子さまも 皆様のおられるまさにこの場所で、仏様に祈りを捧げられたのではないでしょうか。」天皇家の宮廷でさえ茅葺(かやぶき)で、まして庶民は竪穴住居に住んでいた時代。立派な本殿と瓦屋根を持った飛鳥寺は、天竺や中国の都を彷彿とさせる大伽藍だったことでしょう。大仏さまの前で、静かに目を瞑ると、仏様の歩んだ道が浮かびます。ガンダーラからバーミアンを経て、雪を抱くパミールをこえ、タクラマカン砂漠から河西回廊に至るシルクロード。敦煌〜西安を経て、半島経由で奈良に至る北伝仏教の道。その終点には、日本の国のまほろばが、今も息づいているのです。

平山郁夫《シルクロード行くキャラバン-西・月-》

一覧に戻る

兵庫県川西市 婦人科 レディースクリニックかとう

〒666-0014 兵庫県川西市小戸1丁目7-13

Tel.072-764-6306

  • 阪急「川西能勢口」駅
    東改札を出て11番出口方向 徒歩1分

診療時間

休診… 火曜午後、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

受付終了時間は診療終了時刻の15分前となります。

診療は予約優先で行いますので、
できるだけ前日までにご予約ください。

CLINIC INFO

診療時間

診療時間

休診… 火曜午後、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日

受付終了時間は診療終了時刻の15分前となります。

診療は予約優先で行いますので、
できるだけ前日までにご予約ください。

兵庫県川西市 婦人科 レディースクリニックかとう

〒666-0014
兵庫県川西市小戸1丁目7-13

  • 阪急「川西能勢口」駅
    東改札を出て11番出口方向 徒歩1分

診療は予約優先です。
お電話でご予約ください。

このページの先頭へ