院長コラム
生成AIは、電子の夢を見るか
2025年04月25日
西洋では恋は盲目と言いますが、私には、前述の物狂いという表現がしっくりきます。異性のことを思うと、やりきれない気持ちになり、いてもたってもいられなくなるーー、それは、甘く危うい誘惑であり、青春の特権です。いくら AIが発達しても、両性が分化した生物に見られるこの不可避かつ不条理な感情だけは、うまく処理できないのではないでしょうか。それは生きとし生けるものが持つ性(さが)であり、本能のなせる技だからです。(脳というCPUが合理性を失い暴走しているのですから、いくら精密なプログラムを組んでも無駄なのです。)
半世紀も前の小松左京先生のSFで、題名は忘れましたが、人類が巨大なコンピューターの上の信号となり、実体を失った世界を描いた小編がありました。我思う故に我あり、ですから、脳の中の全ての情報をAIに移行してしまえば、人体は不要になります。(ホモサピエンスの将来がそんな無機的な世界になるかどうかの論議はひとまずおきましょう。)人類が実態を失い、地球上には退化した野人だけが存在しています。巨大な中央コンピューターは、そんな野人の間でトラブルが発生すると、信号の中から適当な人材?を見繕って、人型のロボットとして実体化し、現地に派遣するのです。F型とM型という2台のロボットが、とある事件現地に向かう途中、なぜ我々にはFとかMの区別があるのだろうかと議論します。読者は、電子化された我々の子孫は、性差が曖昧になっているのに気づきます。現場に着くと、毛むくじゃらのゴリアテのような巨人が、可憐な妖精の亡骸を抱えて泣いています。ロボットたちは、妖精の血だらけの下半身を見て、なにが起こったかを瞬時に見てとりました。普段はおとなしい巨人がなぜそのような暴挙に及んだのか。取り調べの結果、和姦であった可能性が高いと判断したロボットたちは、失意の巨人を許し、ホストコンピューターの元へ連れて行きます。そこで、巨人は突然、プログラムの中にある失われた愛のメッセージを発見するーー。ひどいネタバレですが、ご容赦ください。小松先生は、いくらAI技術が発達しても、愛という本源的概念は失われないと喝破しています。インターネットもない時代に、こんな発想をしていた先生は まさに知の巨人です。現在、全世界でベストセラーになっている『NEXUS 情報の人類史」の筆者ノアハラリ教授に推薦したい物語です。
コラム一覧
2025年04月25日
2025年04月11日
2025年04月02日
2025年03月07日
2025年03月04日
2025年02月20日
2025年01月25日
2024年12月11日
2024年12月04日
〒666-0014 兵庫県川西市小戸1丁目7-13
- 阪急「川西能勢口」駅
東改札を出て11番出口方向 徒歩1分
休診… 火曜午後、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日
受付終了時間は診療終了時刻の15分前となります。
診療は予約優先で行いますので、
できるだけ前日までにご予約ください。
CLINIC INFO
診療時間
休診… 火曜午後、木曜午後、土曜午後、日曜、祝日
受付終了時間は診療終了時刻の15分前となります。
診療は予約優先で行いますので、
できるだけ前日までにご予約ください。
〒666-0014
兵庫県川西市小戸1丁目7-13
- 阪急「川西能勢口」駅
東改札を出て11番出口方向 徒歩1分
診療は予約優先です。
お電話でご予約ください。
