院長コラム

道 LA STRADA

2025年08月20日

父は、開業の傍、医師会のレクレーション係もしていて、月に1回、古い映画の上映会を行なっていました。この会は、合計170回余にわたり、父が亡くなるまで続きました。勤務医だった私も時々参加し、数々の名画を鑑賞しました。その中で印象に残っているのが、フェデリコ・フェリーニ監督のイタリア映画「道LA STRADA」です。(以下ネタバレすみません)アンソニー・クイン演じるアウトローの旅芸人ザンパノとジュリエッタ・マシーナ演じる知恵遅れの妻ジェルソミーナの物語です。3輪バイクに繋いだホロ車で移動しながら 芸を披露し、先々で色々な人と出会う二人。薄幸のジェルソミーナは、家を厄介払いされ、ザンパノにお金で買われたという自らの境遇をよく承知して、健気にザンパノに尽くします。しかしザンパノの方はことあるごとに彼女を叱りつけ、時に暴力を振るい、勝手気ままな放浪生活を続けます。旅先でジェルソミーナが衰弱し、足手纏いになると、彼女を道端に捨てていく薄情で冷酷なサンバノ。その後、たどり着いた海辺の村で、偶然ジェルソミーナが、のたれ死んだことを聞き、悲壮に暮れる哀れな男。エンディングに流れる物悲しいニーノ・ロータの主題歌。映画解説者の淀川長治さんが、最も印象に残る映画だと絶賛した作品です。

先日、猪名川の鉄橋の下でフルートを吹いている男性に出会いました。決して流暢とはいえない調子でしたが、一生懸命に楽譜をたどりながら、ニーノ・ロータの「道」のテーマ曲を演奏されていました。愛犬と一緒に 川縁の土手の階段に座り、目を瞑って物悲しい音色を聞いていると、昔見たその映画の筋が走馬灯のように蘇りました。観客の多くは、私同様にザンパノの悪行の数々に呆れ、腹をたて、可哀想なジェルソミーナに自身を重ねて同情し、応援します。しかし、誰もが心のどこかにザンパノ的な残虐性を帯びているのが人間の性というもの。私の場合、早とちりで考えの浅い妻を、古い道徳観を振り翳して、上から目線で叱りつけている事に気づきます。たまに家に帰ってくる研修医の子供達は、ご飯を作ってくれる明るい妻に同情的で、父親の分はますます悪くなる。歳を経るに従って、家の外で怒ることはほとんどなくなりましたが、家の中では、知らず知らず雰囲気を悪くしていたのではないか。自分もサンバノと変わらないじゃないかと、ちょっと心配になってきました。世の男性諸氏、くれぐれも奥さんは大切にしなくてはいけませんよ。(お前がいうな?)

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