2020年01月04日

更年期の方には、よく散歩の効用のお話をします。「１日１０分でもいいから、毎日自然を体感せよ」というのは、解剖学医としても有名な養老孟司先生のお言葉です。
現代女性は、空調の利いたコンクリートジャングルばかりをハイヒールで歩き回ったり、１日中スマホやPCとにらめっこしたりすることが多くなり、そうなると人間本来の本能や感性は弱っていくばかりです。
元旦の朝、私は初陽を求め愛犬のティアラ（８歳の牧羊犬）をお供に五月山に登りました。中腹の五月台からは伊丹空港を越えて遠く大阪平野と大阪湾が臨めます。今年の元日は風もなく、やさしい陽光が降り注ぐ穏やかな１日でした。双眼鏡で湾を行く船を眺めていると、遠くの島が少し浮いてみえる事に気づきました。海面が陸地に比べて暖かいときに光の屈折の差で生じる「浮き島現象」です。五月山にはよく登りますが、こんな光景を見たのは初めてでした。大阪科学博物館のHPによると、富山湾など違い、大阪湾に蜃気楼が出る事は滅多にないそうです。元日の朝から、なんだか神々しいものに触れたようで、爽快な気分になりました。

「何となく、ことしはよい事あるごとし／元日の朝、晴れて風無し」（啄木）

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