院長コラム

女性とコロナ

2021年02月06日

唐の病が全世界を席巻し、はや1年。1日も早いワクチンの普及が待たれます。都府県別の感染者数や年齢別の陽性率などはよく報道されますが、感染者の男女比はどうなのでしょうか。パンデミックの当初から、重症化率や死亡率に男女差がある事はよく知られて来ました。(NYの救急病院で気管挿管されているのは ほとんど男性患者だそうですし、死亡率は男性のほうが倍近く高いこともわかっています。)

コロナウイルスの表面上にあるSpike タンパク質は、ヒトの肺胞細胞のACE2(Angiotenisn-converting enzyme2)受容体に結合し、感染が成立します。男性ホルモンはACE2受容体タンパクの発現を増やし、女性ホルモンはACE2受容体へのウイルスの結合を妨げるという実験結果から、女性ホルモンはコロナ感染を防止する働きがあると考えられるのです。東アジアにコロナが少ない理由(いわゆるファクターX)のひとつに、女性ホルモン類似物質のイソフラボンの摂取量が多いことが挙げられています。それなら女性ホルモン補充療法や女性ホルモンを含んだ低用量ピルはコロナの予防に有効なのでしょうか。しかし、これらのホルモン治療は欧米のほうが遥かに普及しているので、日本人がイソフラボンを含む食品をたくさん採っているからコロナにかかりにくいかどうかというのは微妙です。

むしろホルモン内服をされている女性に注意して頂きたい点があるとしたら、血栓の問題でしょうか。新型コロナウイルス感染で全身の凝固能が亢進し、血栓症を生じることが知られています。一方、ホルモン補充療法や低用量ピルに含まれる女性ホルモンは、血栓症のリスクを増加させます。昨年八月、日本産婦人科学会は感染症学会と共同で、ホルモン投与中の女性が コロナに感染した場合の注意点をまとめました。おおまかに言うと、入院するような重症や軽症でも呼吸器症状を伴う例は、ホルモン投与を中止してヘパリン(抗凝固剤)を使用する。軽症や無症状の場合でも、エストロゲンを含む製剤を安全なプロゲスチン製剤に切り替えたり、エストロゲンの経皮投与(貼り薬や塗り薬)に切り替えるなどの対策が必要になります。これらの製剤を内服している女性が、コロナで医療機関にかかった時には、医療従事者に伝えて頂きたいと思います。

以上のように、女性だから安心--という訳には行きませんが、私の周りでは女性のほうがコロナの予防により気を使い、よく情報を集めておられる気がします。翻って、すこし男目線で書いてみます。トランプ前大統領は公の場でマスクをしませんでしたが、西洋の上流社会には「男子たるもの 人前で弱みを見せてはいけない」という騎士道精神が健在です。かつての英国には「にわか雨が降った時、傘をさすのは弱虫のする事だ」なんて言う妙なこだわりがあったそうです。日本の武士道にも、同じような傾向が見られます。男らしさへの憧憬は、世の東西を問いません。男の美学(ダンディズム)としての自己犠牲を日々実践するのは立派な事ですが、(たとえエチケット違反のレベルであっても)人に迷惑をかけていては少しもかっこいいものではないでしょう。どうも(自分もふくめて)男というものは面子や習慣にしばられて、時に現実離れしてしまうようです。勝ち戦のときは武勇談もいいけれども、負け戦のおける面子や過去の栄光ははた迷惑でしかありません。

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