院長コラム

産褥熱

2021年12月06日

近代的消毒法が確立するまで 産後の女性をねらう無常な殺し屋だった産褥感染。それが、不潔な外部からの感染である事は、案外昔から知られていました。古代ヒンズーの教えであるアーユルベーダには、産褥熱の防止のため助産師は爪切りを推奨されていますし、ヒポクラティスは悪露の排泄が停止する事が原因であると示唆しています。(図説 産婦人科学の歴史 エンタープライズ社 ハロルド スピアート著)産科学が医学として確立する中で、内診は妊娠や分娩の経過を見る上で、重要な手段になって行きました。(昔の産科の教科書には 内診指の先に目がかいてあり、指先の繊細な感覚を磨く事が産科医の修行の一つでした。)しかし いまでは妊娠中の子宮頸管(子宮の入り口)への感染が 切迫早産の原因であるとわかり、不要な内診は出来るだけ控えるように言われています。また分娩進行中の不潔な手での内診は、産道を汚染し産褥熱の一因になります。19世紀なかば、ウイーンの病院に勤務するマジャール人(ハンガリー人)の産科医、イグナッツ・ゼンメルワイズ先生は、不潔な手での内診が産褥熱の原因である事を見破り、仲間の産婦人科医に手指の消毒を勧めました。たったこれだけで、同産院で産褥熱で亡くなる女性は激減したのです。しかし本当にゼンメルワイズ先生の消毒法が評価され取り入れ得られるには、20年余の歳月を要しました。当時の権威主義的な医学会の重鎮は、異国の変わり者の産科医師の言う事など 相手にしなかったからです。

令和3年の暮れを迎え、先進国の中では日本だけが、コロナの猖獗を逃れています。今後の事は誰にもわかりませんが、上から言われなくてもワクチンを接種し、マスクをして、年末のどんちゃん騒ぎを控える日本人の生真面目さがベースにあるように思えてなりません。外国や政財界になんと言われようと、正しいと思う路を歩む事をためらってはいけない。ゼンメルワイズ先生がそのように教えてくれている気がします。

 

 

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